大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和25年(う)2653号 判決

被告人

鈴木千代子こと

村松八千子

主文

原判決を破棄する。

被告人を懲役一年に処する。

原審における未決勾留日数全部を右本刑に算入する。

但し、この裁判確定の日から四年間右刑の執行を猶予する。

訴訟費用は、全部被告人の負担とする。

理由

弁護人谷川八郎の控訴趣意第一点について。

記録に徴すれば、被告人に対し昭和二十五年四月十一日発せられ、同日執行された勾留状が本件公訴事実とは異る事実に基くものであるにかかわらず、同月十九日原審に提出された起訴状には、被告人が勾留中なる旨の記載のあることは明らかであつて、当時他に勾留状の存することは、記録上認められない。従つて、右起訴状に勾留中として記載された勾留が本件公訴事実とは関係のないものと解すべきことは、所論の通りである。しかしながら、刑事訴訟規則第百六十四條第一項第二号は、訓示規定と解すべきものであつて、起訴状の記載に同号の規定事項に関する誤があつても、これを以て、直ちに所論のように公訴提起の手続がその規定に違反して無効なものと為すことはできない。論旨は理由がない。

(註 本件は量刑不当により破棄自判)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例